おくりびと

納棺夫日記 増補改訂版 (文春文庫)

納棺夫日記 増補改訂版 (文春文庫)

滝田洋二郎監督作品『おくりびと』を観る。

東京でチェロ奏者をしている主人公は、オーケストラが解散となったことをきっかけに、妻を連れて生まれ故郷である山形へと帰る。

そこで彼は納棺師という職につき、自身の迷いや周りの無理解を少しずつ乗り越えていく。

死というものを描きながらも、絶えずどこかに明るさがある。

笑えて、それでいて、ほろりとさせられる。

幼いころに姿を消した父をうらみながらも、面影を求める主人公の様子が印象的だ。

必要以上に感動をあおることはなく、静かに物語は進んでいく。

納棺師という特殊な仕事が描かれていることが、この作品の見どころになってはいるのだが、そればかりではなく、ちいさなエピソードの数々がこころにやさしく響く。

アカデミー賞外国語映画賞を受賞したという話題性からだけでなく、もっと注目されてもいい作品。

滝田監督は、以前にも東野圭吾原作の『秘密』を映画化しているが、あれも良かった。次回作は『釣りキチ三平』なので、また原作もの。映画好きとしては、本当はオリジナルシナリオ作品を応援したいのだが、仕事柄、原作ものの映画はなるべく観るようにしてブログでも紹介したい。

☆まだまだ映画館での上映は続きますが、はやくもDVDが3月18日に発売されます!

★この作品が生まれるきっかけになった本は、納棺師・青木新門による著書『納棺夫日記』(文春文庫)です。